ICタグ・ RFIDタグのエンコードについて

タグのエンコードは、タグに情報を書き込むプロセスです。ICタグは、組み込まれた集積回路(Integrated Circuit)によって情報を処理するタグであり、RFIDタグはICタグの一種であり、無線通信を利用して情報を送受信します。
適切なタグとエンコードプロセスを選択することで、タグのエンコードが効率的に行われ、アプリケーションの要件や目的に適した動作を実現することがとても重要です。

エンコードの特徴

  • データの種類と容量

    タグに記録するデータの種類と容量を考慮する必要があります。一部のタグは数バイトしか記録できない一方で、他のタグは数キロバイト以上のデータを格納できます。エンコードするデータの量や種類に応じて、適切なタグを選択することが重要です。

  • プロトコルと互換性

    タグとリーダーの間で使用される通信プロトコルに対する互換性が重要です。
    エンコード装置は、対応するプロトコルを使用してタグと通信し、データを正しく書き込む必要があります。

  • セキュリティ

    タグに記録されるデータが機密性の高い場合、エンコードプロセスにセキュリティ機能を組み込む必要があります。データの暗号化、アクセス制御、認証などが含まれます。

  • 読み取り可能な範囲

    一部のアプリケーションでは、タグを近距離でしか読み取れないようにする必要がありますが、他のアプリケーションでは、遠距離からでも読み取ることができるタグが必要な場合があります。

  • 耐久性と環境適合性

    タグが使用される環境条件に合った耐久性がとても重要です。例えば、屋外で使用されるタグは、防水性や耐候性が必要です。高温や低温、振動、衝撃などの環境条件に耐える能力も重要です。

エンコードの流れ

タグのエンコードは、次の手順で行われます。

  1. エンコードする情報を準備します。これには、製品の識別番号、製造日、品質情報、追跡情報などが含まれる場合があります。
  2. エンコード装置は、情報をタグに書き込むための特殊な機器です。エンコード装置には、通常は専用のソフトウェアが付属しており、情報を入力し、タグに書き込むためのインターフェイスを提供します。
  3. エンコードする情報に適したタグを選択します。ICタグとRFIDタグの違いは、通信プロトコルや使用目的によって異なります。
  4. エンコード装置を使用して、選択したタグに情報を書き込みます。これには、タグの識別番号や追跡情報などを含めることができます。エンコード装置は、適切なプロトコルを使用してタグと通信し、情報をタグに書き込みます。
  5. 書き込まれた情報が正しくタグに書き込まれたことを確認するために、検証プロセスが行われます。エンコード装置は、書き込まれた情報を読み取り、確認します。

各種エンコード方式

■FeliCa Standard1次

FeliCaの1次フォーマットは、カード内のメモリーに PCでいうフォルダとファイルを作っていく作業になります。FeliCaは元々フリーなファイル構成になっており、255個(ユーザー利用は249個)のブロック(1ブロック16Byte)に属性を付けて配置していくことになります。

■FeliCa Standard 2次

FeliCaの2次エンコードは、1次で出来上がったフォーマットにパーソナライズデータを書き込んでいく作業になります。プリンタなどの発行機や特定ソフトでのエンコードが可能です。弊社にて代行発行も行っておりますが、社員証などで常に作成が必要な場合は、プリンタにエンコード設定を登録していただき、自施設内での発行がベストです。
2次エンコードには、1次のカードフォーマット情報やサービス定義、縮退鍵の情報が必要となります。

■MIFARE DESFire

MIFARE DESFireは、FeliCaと同じようにフリーなファイル構成を行うことが出来ます。 カードの中にApplication(以下App)を作り、そのAppの中に、6種類のファイル属性の中から必要になるファイルを設定していきます。カードの世代にもよりますが、Appは無制限に作成することが可能です。

■MIFARE Plus

MIFARE PlusのエンコードはMIFARE Classicに慣れ親しんだ方であれば、理解しやすいチップになります。セクターやユーザーブロックの構成はそのままに、システムに関わるブロックが増えて、その構成もClassicとは別の形で組み立てられています。
その他Classicとの違いとして、大きく変わってくるのは、セキュリティレベル(SL)という概念があり、SL0~SL3までの4段階で機能が変化していきます。

■MIFARE Classic

MIFARE Classic1Kカード(1K)は16のセクターとセクター内の4つのブロックにあらかじめ分けられており、4つのブロックの内一つはメモリへのアクセス条件を定義するアクセスコンディション情報と鍵(KeyA、KeyB)を格納しています。 カード全体でユーザーが利用できるブロックメモリは752Byte(47ブロック×16Byte)で、全体の3/4の容量までデータを書き込むことができます。

■NDEFフォーマット

NFCの搭載スマホが主流となった今、店舗情報・商品情報・会員案内・登録フォームなどの情報をスマホをかざす動作のみで取得できるNDEFエンコード需要が高まってきております。当社でもそれらに応じたフォーマットをエンコードいただけるサービスをご用意しております。またNFCタグはラベルやキーホルダータイプなど形状を問わず製造が可能で、利用シーンに合った製品をご用意可能です。可変の印字や刻印、UIDと連動させた紐付けデータ作成の対応も可能です。

■特殊アルゴリズム

お客様の使用環境のセキュリティレベルに合わせ、数々のアルゴリズムのエンコードに対応しております。
●個別鍵
●書込みデータのAES暗号化
●SHAを使ったデータの整合認証
●その他ユーザー指定ロジック
チップセキュリティの低いチップでも、特殊アルゴリズムによってレベルを上げて使用することが可能です。セキュリティレベルの高いチップの場合であれば、より強固なセキュリティを実現することが可能となります。