NFCタグの仕組み
NFCタグの仕組みは、近距離無線通信(NFC: Near Field Communication)技術を活用した簡単で効率的なデータ送受信のプロセスに基づいています。
■基本的な仕組み
NFCタグは、電源不要のパッシブデバイスで、次の要素で構成されています。
■アンテナ
電磁誘導を通じてNFCリーダー(スマートフォンやNFC端末)からの電波を受信します。
■ICチップ(メモリ)
書き込み可能なデータを保持します。
データ容量はタグによって異なり、一般的に数十バイト~数キロバイト程度です。
■NFCタグの動作原理
- 電磁誘導によるエネルギー供給
・NFCタグは電池を内蔵していませんが、NFCリーダー(例: スマートフォン)から発信される高周波電波(13.56MHz)を利用して動作します。
・この電波がタグ内のアンテナコイルで電流を発生させ、タグにエネルギーを供給します。 - データ通信
・エネルギーが供給されると、タグ内のICチップがアクティブになり、メモリ内のデータをNFCリーダーに送信します。
・通信方式は、近距離通信(約4cm以内)で、電波を利用した「電磁結合」に基づきます。 - 通信プロトコル
・NFCは、ISO/IEC 14443規格やISO/IEC 15693規格に準拠しており、以下の3つの動作モードに対応しています:
■リーダー/ライターモード:NFCリーダー(スマートフォンなど)がタグを読み書きするモード。
■ピアツーピアモード:2つのNFC対応デバイス間でデータを交換するモード。
■カードエミュレーションモード:スマートフォンをICカードのように振る舞わせるモード。
■NFCタグの種類と機能
NFCタグには、チップの種類や記録方式によっていくつかの異なる特性があります。
- タグの種類(NFCフォーラム規格)
【Type 1】
・読み書き可能、ロック機能あり。
例: Broadcom TOPAZ。
容量:96バイト~2KB。【Type 2】
・読み書き可能、ロック機能あり。
例: NXP MIFARE Ultralight、NTAG213、NTAG215。
容量:48バイト~2KB。【Type 3】
・高速通信に対応。
例: Sony FeliCa。
容量:2KB以上。【Type 4】
・アプリケーションごとに高度な制御が可能。
容量:最大32KB。 - データの読み書き
NFCタグのデータは、NDEF(NFC Data Exchange Format)という標準フォーマットに基づいて記録されます。
このフォーマットは、URL、テキスト、Wi-Fi設定、電話番号などの情報を保存するのに適しています。
■利用の安全性
●短距離通信
通信範囲が4cm以内のため、不正アクセスのリスクは低い。
●暗号化と認証
一部のNFCタグは暗号化やパスワード保護機能を備えており、セキュリティを向上。
NFCタグは、シンプルな構造ながら、柔軟性と高い利便性を持つ技術で、日常生活や商業用途で幅広く利用されています。